【トラ脱走事件】騒動の原因は神野寺の住職か…犬も犠牲でパニックのその後とは

1975年の夏、日本で「トラ脱走事件」がありました。
騒動が起きた場所は千葉県の君津市鹿野山にある神野寺。
びっくりですが当時の日本は、猛獣飼育に対する規制がありませんでした。
神野寺では、住職が客からお金をとる見世物としてトラなどを飼っていたのです。

「トラ脱走事件」で脱走したトラは2頭。
住職は檻にカギをかけたはずだと主張。
その後、1頭は捜索2日目に射殺され、もう1頭は7700人の大捜索網をかいくぐり1か月近く逃走。
住民の飼い犬もトラの犠牲になり、山から住宅地にトラが現れ住民がパニックする大騒動に。
しかし捜索26日目に2頭目を射殺。トラに怯える長い夏は終わりました。

その後、千葉県神野寺の住職はどうなったのでしょう?
また、日本の猛獣飼育に対する規制は。
 
 

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■トラを飼っていた千葉県の寺「神野寺」


千葉県の君津市鹿野山にある神野寺。
動物好きの住職が集めたトラや熊などは地元住民から人気でした。
干支に関係する12種の動物を飼って、まるで動物園。
観光客や参拝客から200円で動物たちを見世物にしていました。

当時の日本は、猛獣飼育に対する規制がありませんでした。
特別な許可なく、誰でも猛獣を飼育できました。

トラは神野寺の目玉猛獣でした。

■「神野寺トラ脱走事件」騒動の始まり 8月2日


8月2日の夜10時
神野寺のトラの檻のトビラが開いていて、トラ12頭のうち3頭が脱走していることが発覚。
その後トラ1頭はずぐ発見され、檻に戻りました。

翌8月3日の早朝4時
トラ脱走から6時間後。
神野寺はようやく警察に、残りトラ2頭が脱走したことを110番通報しました。
「神野寺トラ脱走事件」騒動の始まりです。

住職によると、前日8月1日の夜6時にチェックした時は檻は閉まっていたそうです。
しかし1才のオスとメス、合計2頭が脱走したままです。

■トラの大きさ

1才の子供のトラですが、体重は100キロ・体長は1.5mもあります。
人間を恐怖させるには充分な大きさです。

しかもトラは、短距離なら時速50~60kmで走ります。
もしトラに狙われたら、たとえ五輪選手でも逃げることは不可能です。

■脱走の原因は?

なぜトラは脱走できたのでしょう?
警察は、何かの拍子にトラが錠を跳ね上げて、檻のトビラが開いたのではと推測しました。
結局、詳しい原因はわからないまま。

■人々がアブナイ!

「神野寺トラ脱走事件」発生当時、神野寺には研修で高校生が泊まっていました。
神野寺の周辺には、民家が80世帯。
しかも夏休みなので、400人以上が付近の施設を訪れていました。

■「神野寺トラ脱走事件」捜索1日目■8月3日


警察は、現地対策本部を設置しました。
交通規制を敷き、住民たちは戸締りを厳重にしました。
80世帯240人の周辺住民には外出禁止令。
市内には「トラが脱走しました」というアナウンスが。
神野寺にいた高校生たちも朝9時半には全員避難を終えました。

警察官・消防団・機動隊・猟友会など500人がトラ捜索に動員されました。

■射殺もやむなし

警察は、人命を第一に考え、射殺もやむなしと考えました。
深い藪が多い場所で視界が悪く、捕獲は困難だからです。
麻酔銃だとトラに命中してから動きが止まるまで数分かかってしまいます。

■トラ捕獲作戦

捜索隊がトラの足跡を発見。
足跡は20cmもありました。
人間に飼いならされたトラでも、空腹が続けば凶暴になります。
山で動物を襲って狩りを覚えてしまったら、人間を襲うのは必至です。

対策本部は猟犬を数頭使って山狩りを敢行し「トラ捕獲作戦」を始めました。

■トラ見つからず

ところがトラは体臭がほとんどないので猟犬での捜索は困難でした。
トラやライオンなどネコ科の動物は、汗腺が無いので体臭がほぼゼロですが、当時は知られていませんでした。
結局、捜索1日目はトラを発見できず終了。

■「神野寺トラ脱走事件」捜索2日目■8月4日


捜索2日目、トラ脱走を住民が実感する出来事が。
明け方なのに民家の飼い犬が激しく吠えていました。
住民が様子をのぞいてみるとトラがいたのです。

早朝の民家トラ出現の衝撃をうけ、その後警察は捜索人員を800人へ大幅に増やしました。
神野寺の周囲1kmに包囲網を敷いての大捜索です。

■1頭目のトラを射殺

捜索開始から1時間
猟友会がメスのトラを発見しました。
場所は神野寺近くの山中。
ただし!もし急所を外したら、トラが反撃してくる恐れがあります。
まさに命がけ。

そして猟友会3人が4発を撃って、射殺に成功しました。
発見から射殺までわずか1分でした。

■トラ射殺に非難殺到?


猟友会は住民たちの命を守るために、命がけでトラを射殺しました。
しかし英雄であるはずの彼らにたいして、全国から思わぬ反応が。

全国の動物愛護団体などから猟友会に「射殺するな」「かわいそうだ」と数多くの抗議が寄せられたのです。
猟友会のメンバーの名前と住所が新聞で報じられていたので、彼らの自宅に直接、抗議の電話が殺到。
昼夜を問わず電話が鳴り響き、猟友会のメンバーは夜眠ることさえできなくなりました。

猟友会撤退の危機ですが、トラはまだ1頭います。
住民たちはまだ危険です。
ここでやめるわけにはいきません。

■射殺か生け捕りか 方針が分かれる

動物愛護団体などからの抗議の影響で、射殺か生け捕りか 方針が分かれました。
士気にも影響が出ます。
そんな状態だからか、残り1頭の捜索は難航しました。

8月11日には、2800人体制で大捜索を行いましたが、トラは発見できず・・
県警は事実上の捜索中断を発表しました。
 
 

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■「神野寺トラ脱走事件」トラ騒動から2週間が経過■突然のパニック!


トラ騒動から2週間が経過した頃、突然、住民を恐怖が襲いました。
民家の庭先にトラ出現です。
目撃場所は、今まで重点的に捜索していた場所から2kmも離れた山の麓の民家でした。
今までトラが出現した山あいの地区ではなく、住宅街に初めて現れたのです。

住宅街の住民たちは、山で起きている他人事だと思っていたので、突然のトラ襲来にパニック!

■「神野寺トラ脱走事件」トラ騒動から26日目■8月28日


■犬が犠牲に トラが狩りを覚えた

トラ騒動から26日目
心配していたことが現実になりました。
住宅街のある民家で、飼い犬がトラの犠牲になってのです。

場所は神野寺から4km離れた民家。
愛犬の異様な声を聞いた男性が庭へ向かうと、そこにあったのは首輪と鎖だけでした。
そして、大きな獣の足跡がありました。トラです。

通報を受けた警察が、付近の山を捜索。
すると犬と思われる毛や血痕が。
トラはついに狩りを覚えたのです。

もう迷っていられません。人間が襲われる前に、トラを射殺しなければいけません。

■トラ捜索選抜隊を結成

犬(生き物)が襲われたことで警察は「トラ捜索選抜隊」を結成しました。
実は10日前に、警察学校で射撃テストが行われ、射撃技術の高い警察官を選抜していたのです。
装備した武器は、殺傷能力の高い銃弾「スラッグ弾」

■2頭目のトラを射殺

トラ捜索選抜隊と猟友会が、トラの足跡を頼りに山中を捜索します。
山に詳しい猟友会メンバーが先導。
その時、トラ捜索選抜隊の前にいきなり、何かが。
茂みの向こうにトラを発見!
「いたぞ!」
午後0時20分
場所は神野寺から4km離れた山中
ついに2頭目のトラを射殺しました。

トラにおびえる長い夏が終わった瞬間でした。

■「神野寺トラ脱走事件」その後 住職は?


最後のトラが射殺された翌日8月29日
街に平和が戻り、すっかり以前の活気を取り戻しました。
ゴルフ場も再開され、住民たちの表情も笑顔に。

■その後 神野寺の住職は?

ところで騒動の発端である神野寺の住職はどうしたのでしょう?

檻のカギについて神野寺の住職は、一貫して
「動物飼育所の鍵はかけていた。寺関係者以外の誰かがカギを開けた」と主張。
しかし警察は現場検証の結果、カギはかけられていなかったと判断しました。

10月6日
神野寺の住職と、飼育係だった36才の次女は、軽犯罪法違反(動物飼育の管理責任)容疑で送検されました。
容疑を否認し続けても結局、その後送検されたのでした。

その後、神野寺は残ったトラなどを、動物園に引き渡して猛獣飼育をやめました。
代わりに鹿を飼ったそうです。

ちなみにこの住職は、1頭目のトラが射殺された際、猟友会に苦情を言い、猟友会は激怒しました。
自分が原因なのに・・・
他人のせいにして謝罪しなかった住職にたいして、批判の声も多いです。

■その後 日本の猛獣飼育は?

「神野寺トラ脱走事件」をきっかけに、日本全国で条例制定が相次いで、猛獣飼育には特別な許可が必要になりました。
 
 

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