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小説家の横山秀夫さんによる傑作ミステリー「ロクヨン」(64)は、実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」を元に作られたといわれていますが、本当なのでしょうか。
調べていくと、たくさんの共通点がありました。
また、横山秀夫さんの経歴からも、「ロクヨン」(64)は、実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」をモデルにしていると思われることがわかりました。
目次
功明ちゃん誘拐殺人事件
1987年(昭和62年)
■9月14日(誘拐される)
群馬県高崎市の荻原光則さん(43才)の長男の功明ちゃん(5才)が、自宅の前にある神社に遊びに行ったきり居なくなりました。
夜、家族は捜索願いを出しました。
↓
■犯人から1回目の電話
そのあと「身代金2000万円を渡さなければ殺す」と電話があり、功明ちゃんが誘拐されたとわかります。
犯人は男性で中年のような声でした。
また、犯人から捜索願を取り消すよう指示があり、そうしました。
■2回目の電話
荻原光則さんの弟で警察官の正規さんが犯人と話し、2000万円という大金はなく、翌日は敬老の日なので金融機関が休みであることも伝えます。
■3回目の電話
誘拐された功明ちゃんが電話に出て、元気なことが確認されました。
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■9月16日(遺体発見)
■4回目の電話
今度は犯人から夕方までに、金額が減って1000万円の要求がありました。
また電話するということで電話が切られましたが、電話はかかってきませんでした。
しかし荻原光則さんはなんとか1000万円を用意しました。
↓
■功明ちゃんの遺体見つかる
結局、犯人からの電話はないまま、午後に功明ちゃんの遺体見つかりました。
自宅から5kmの距離にある寺沢川です。
検視の結果、死亡推定時刻は15日のAM10:00なので、4回目の電話の時にはすでに功明ちゃんは殺されていたのです。
功明ちゃんは生きたまま川に投げ落とされ、顎を骨折し、砂や水を飲みこんで窒息死でした。
■犯人は?
犯人は捕まっていません。
「功明ちゃん誘拐殺人事件」は戦後に起きた身代金目的の誘拐殺人で、唯一の未解決事件です。
そのまま2002年に時効になりました。
■逆探知に不慣れだった警察
群馬県では本格的誘拐事件はこれが初めてで、警察は逆探知に不慣れでした。
2回目の電話には準備が間に合わず、逆探知をしたのは3~4回目です。
NTTとの連携も下手で途中で逆探知を解除したりと、ちぐはぐでした。
逆探知でわかったのは、群馬の長野局管内からかけられたということだけです。
ロクヨン「昭和64年の翔子ちゃん誘拐殺人事件」
ロクヨンが実話をもとにしたといわれる理由は、物語の中の「昭和64年の翔子ちゃん誘拐殺人事件」が「功明ちゃん誘拐殺人事件」に似ているからです。
昭和64年1月1日、7才の雨宮翔子ちゃんが誘拐されて、身代金2000万円を要求されます。
翔子ちゃんの父親が2000万円を車で持っていき、警察は尾行するのですが、身代金は奪われてしまいます。
1月7日、翔子ちゃんは遺体で見つかりました。
「昭和64年の翔子ちゃん誘拐殺人事件」は通称ロクヨンと呼ばれ、2002年が時効でした。
ロクヨンと実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」の共通点
事件の起きた年は昭和62年と64年という違いがあるものの、
ロクヨンと実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」の共通点があります。
・県警
・幼い子供が誘拐される
・身代金2000万円
・子供が殺され川で見つかる
・誘拐から1週間以内で殺害
・犯人が捕まらず未解決事件
・時効が2002年
といったものです。
比較表
■ロクヨン | ■功明ちゃん誘拐 | |
年 | 昭和64年 | 昭和62年 |
県警 | D県警 | 群馬県警 |
幼い子供 | 翔子ちゃん7才 | 功明ちゃん5才 |
身代金 | 2000万円 | 2000万円 |
遺体発見 | 川 | 川 |
1週間以内で殺害 | 7日後発見 | 2日目に殺害 |
時効 | 2002年 | 2002年 |
ロクヨンが実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」だといわれる理由は他にも
ロクヨンが実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」を元ネタにしているいわれる理由は他にもあります。
理由1.横山秀夫 記者時代に起きた事件だった
作者の横山秀夫さん(59才)は、1979年22才頃に上毛新聞社に入社し、記者として12年間、34才頃まで勤務しました。
実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」は、記者歴8年目の1987年(昭和62年)に起きています。
新聞記者として取材に関わったか、そうでなくても仕事柄、強い関心を持った可能性があります。
理由2.時効の2002年が物語の舞台
また、実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」は2002年に時効となっていますが、小説「ロクヨン」では、事件から14年後の2002年が舞台となっています。
こういったことから、ロクヨンは実話「功明ちゃん誘拐殺人事件」を元ネタにしているといわれています。
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