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ノーベル賞ニュースです。スウェーデン王立科学アカデミーは2015年ノーベル物理学賞に、日本人の梶田隆章さんを選びました。観測装置カミオカンデから進化したスーパーカミオカンデを使って、ニュートリノに質量があることを実証し、それまでの「ニュートリノは質量ゼロ」という現代物理学を見直すことになったのです。
★2015年ノーベル物理学賞 梶田隆章
梶田隆章さんは、東京大宇宙線研究所の所長を務める56才。
★2015年ノーベル物理学賞 選ばれた理由
岐阜県飛騨市にある、
「スーパーカミオカンデ」という観測装置を使って、
素粒子のニュートリノに質量があることを実証し、
1998年6月の国際会議で発表しました。
アメリカのニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどでも
1面を飾るニュースとなり、当時の大統領のクリントン大統領も
祝福のコメントを出すくらいに、世界で反響と呼びました。
2003年6月、蓄積された観測データによって質量の存在が確実となりました。
そして現代物理学では「ニュートリノの質量はゼロ」と言われてきましたが
それを見直すことになるということで、世界から注目を集めたのでした。
★ニュートリノ
「ニュートリノ」は、物質を構成する素粒子の一つ。
1930年代にその存在が予測されて、1956年に発見されました。
しかし、ほとんど他の物質と反応しないので、観測は困難で
質量の有無などの詳細な性質については、ずっと謎のままでした。
1996年、東京大特別栄誉教授の故・戸塚洋二さん(2008年没)は
ニュートリノを直接観測するために
国際共同プロジェクトを始動させました。
そのとき梶田隆章さんは実験のまとめ役を担当していて
観測装置「スーパーカミオカンデ」を使用した実験に取り組みました。
ニュートリノは
・電子型
・ミュー型(宇宙線が地球の大気とぶつかって生じる。理論上は電子型の2倍の数。)
・タウ型(スーパーカミオカンデでは観測できない)
の3種類があり、研究チームはミュー型と電子型の観測をおこないました。
ミュー型の数は、電子型の数の2倍、理論上はあるはずでしたが、
実際に観測した結果、ミュー型と電子型の数はほとんど同じでした。
ミュー型が、理論上の数の半分しかないのはなぜか?
研究チームは、長距離移動する過程で、ミュー型がタウ型に変化したために推測しました。
ニュートリノが、ミュー型からタウ型へと、別の種類に変化するこの
「ニュートリノ振動」と呼ばれるこの現象は
ニュートリノに質量がなければ起こらないということで
「ニュートリノに質量がある確証が得られた」という結論に至りました。
★スーパーカミオカンデ
スーパーカミオカンデは、
ニュートリノを観測する装置「カミオカンデ」の次世代版。
性能がすごくなったので、スーパーとつけたようです。
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