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日本理化学工業は創業81年の神奈川県川崎市にある、チョークを開発する会社です。
創業したのは大山要蔵さん。現在は息子の大山泰弘さんが会長を務め「今日本で1番大切にしたい会社」として注目され、社長の言葉は有名です。
その理由は障害者雇用に積極的な一方で、きちんと利益も出してる笑顔と優しさあふれる優良企業であり、従業員に「働く幸せ」を提供しているからです。
しかし大山泰弘さんの経歴を見ると日本理化学工業を継いだのは渋々で、障害者雇用も最初は断っていました。そんななか障害者雇用に積極的になった理由には、ある言葉がありました。
目次
■現在の会長(創業者の息子)大山泰弘 プロフィール(画像)
Mr.サンデーに、
日本でいちばん大切にしたい会社の日本理化学工業が紹介されてる。私も前職時に工場見学に行った事を思い出す。
今は先代の大山社長の息子さんが、社長になっているようだ。
働く人の8割が障がい者の会社
チョークのシェア日本一の会社会社のあるべき姿。#涙 pic.twitter.com/gsga596Q4g
— iPhone太郎 (@adv_iPhone) 2017年7月30日
名前:大山泰弘
生年月日:1932年
出身地:東京都
職業:日本理化学工業の会長
大山泰弘さんはもともと教師か弁護士になりたくて中央大学法学部に進学。
しかし創業者で父親の大山要蔵さんが病気になったため、渋々夢を諦め専務として入社しました。1956年当時「日本理化学工業」はまだ社員十数人の小さな会社でした。
数年後1960年から、会社は全社員のおよそ7割もの知的障害者を雇うようになりました。
一方で、ホワイトボードに押され、チョークの需要が激減。
新たに入社したきた大山泰弘さんの長男・隆久さんは、「生産性を上げるために知的障がい者の雇用を止めるべき」と提案しますが、父で専務の大山泰弘さんは「今までのやり方を変えるつもりはない」と却下しました。
■日本理化学工業 大山泰弘が知的障害者を雇う理由
1959年、近所の養護学校の教師が、生徒を雇用してほしいと訪ねてきましたが、大山泰弘さんはそのとき門前払いします。
しかし教師は2度断られてもあきらめず、3度目に来たときこう言いました。
「子供たちは就職できないと施設暮らしになり、一生働くことを知らずに過ごします。数日で良いから働く経験をさせてやりたい」
この言葉が心に響き「2週間程度の就労体験なら」と少女2人を受け入れました。
すると少女2人は、昼休みのチャイムにも気付かないほど一生懸命にラベル貼り。その働きっぷりに感動した社員たちが私達が面倒を見るから雇用して欲しい」と言い出し、大山泰弘さんも「かわいそうだから」と同情して雇用したのが始まり。
■障害者の雇用を本格化した理由
大山泰弘さんは、障害者は施設で暮らしたほうが楽なのに、なぜわざわざ満員電車に乗って会社へ働きに来るのか?疑問に思い、知り合いの禅寺の住職に聞いてみました。
すると住職が言った言葉はこうでした。
「人間の究極の幸せは4つ。
人に愛されること。
人にほめられること。
人の役にたつこと。
人から必要とされること。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られます。企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証」
この言葉は大山泰弘さんが知的障害者の雇用を本格化する理由になりました。1人でも多くの障害者「働く幸せ」を感じてもらいしたいと思うようになったからです。
現在、川崎の工場に建てられている「働く幸せの像」にもこの言葉は、社長の言葉として刻まれています。
■日本理化学工業を大きく変えた大山泰弘のアイデアが凄い
障害者を雇用したものの、
重度の行動障害者、
休みがちな知的障害者、
など問題が続出して、社員たちからの不満の声が。大山泰弘さんも「こうしなさい」としつこく指示しましたがうまくいきませんでした。
そこで大山泰弘さんは問題を解決するためアイデアを絞りました。
■理解力に合わせた仕組み作り
彼らは文字や数字が理解できません。でも信号を渡って出勤してくるので色は区別できると気づきました。
それなら
赤い缶に入った材料を計量する時は赤い分銅を使う
といったアイデアで、色でわかる製造ラインを取り入れていきました。
ついに!日本理化学工業さんの工場見学に行って参りました!!!
機械のメカメカしさも、作業をこなす従業員さんたちも、めちゃくちゃかっこよかったです!
そして乾かす前のふにゃっとした
チョークかわいいから見て pic.twitter.com/2pM6cegVIE— すずき らな🍜 (@RanaS0803) 2018年5月8日
■粉の出ない新感覚チョーク「キットパス」
ホワイトボードに押され、チョークの需要は激減していました。
そこでガラスやホワイトボードなどに書いても、水拭きで簡単に消せるチョーク「キットパス」を新開発。
子供から大人まで楽しめる「楽描き文化」を提案し、「ISOT2009日本文具大賞機能部門グランプリ」を受賞しました。
実際に使うとこんな感じ
キットパスをチョークみたいに使うのハマり中。 #kitpas #黒板アート pic.twitter.com/dxo6eUaNIN
— R (@eirment) 2018年5月11日
■最後に
大山泰弘さんは1974年に社長になり、翌年の9月には労働省からの打診で、神奈川県川崎市高津区に日本初の知的障害者多数雇用モデル工場を建設しました。費用は1億2千万円の融資ですが20年で返済しています。
現在、社員74人の7割・53人が知的障害者で、製造ラインはほぼ100%知的障害者のみで稼動できるよう、アイデアが凝らしてあります。
日本理化学工業株式会社の川崎工場で造るチョークは多種多様に活用できます。㊇はキットパスアートインストラクターとしても活動しています。保育から介護、医療と様々な場で使われています。目でみて触れて、五感を刺激し、感性を育てる「心育」のお手伝いをしています。https://t.co/u1gELQwfCU pic.twitter.com/6N0umpq0a2
— THE MAN (@THEMANstars) 2018年5月13日
2008年に会長になり「日本でいちばん大切にしたい会社」として評価され、2009年には渋沢栄一賞を受賞しました。
健常者でも派遣切り・リストラ・うつ病などで「働く幸せ」を実感することが難しくなっている現在、障害者に「働く幸せ」を与えている大山泰弘さんはすごいです。
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